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「助けて」「もういい……もう十分だ」②

「もういい……もう十分だ」
沢木が俺の美術課題をこねくりまわしている間、俺の筋肉は何故か発熱した時のように硬直し痛んでいた。
長い隣の席に座ったままこちらに体を乗り出して、沢木は俺の作った芸術品に手を伸ばしている。
「いやいや会長が『そんなにこれをカバだと言うならコレより完璧な犬を作ってみろ』と言った……仰ったんじゃないですか」
俺は自分が作った芸術品に勝手に手を加えられたことに自分が思っているより腹が立っていたのか、心臓がぐるぐると回転するように熱くなっていた。先ほどの筋肉の硬直も腹立ちゆえだったのかもしれない。
そうして俺の作った“主人を待つ犬”を見ると、元と何も変わっていなかった。
「あれ」
俺のつぶやきの意図がわかったのか、沢木が俺の前方の机にもたれかかったまま、俺を見上げた。
この角度から沢木に見られたのは初めてで、「だって」と不服そうな表情だったために唇を少し突き出していて、それも初めて見た。
「会長、勝手に崩したら絶対怒るじゃないですか」
俺のことをわかっているのか、と思うと、顔の筋肉だけ何故か弛緩した。
「でも私は好きですよ」
今度はズキンと頭が痛んだ。何故か頭に血が昇ったらしい。
「会長のカバ」
手足が痺れる。
何だどうした今日の俺の体は。
普段わからないことはないのに、今日は「何故か」ばかりだ。
沢木以外の誰か、助けて!






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拙いですが、かとうさんへのお誕生日プレゼントとして、
「助けて」「もういい……もう十分だ」を入れる掌編(これと前の記事のもの)を書かせていただきました。
(どちらもA5 1枚に手を止めずに書くいつものスタイルでした)
お誕生日プレゼントなのにこんなところに書いてしまってすみません!
かとうさん、お誕生日おめでとうございます&さよハヰ上巻おめでとうございます!!
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「助けて」「もういい……もう十分だ」①

拝島は本当によく耐えた。
少年から青年となり大人となるまで、殴りも蹴りもせず拝島は生きた。
でも今日、解放されるのだ。拝島は手放すのだ。呪縛を、血筋を。
「萱間……助けて」
拝島はほとんど泣きかけて俺を見た。
「助けて」
俺は拝島ほど美しい黒髪を持つ男を見たことがない。
今だって、夕日になり始めた太陽の光の波が、その髪の美しさをいっそう際立たせている。
拝島はまた言う。
「助けて、殺してしまう」
どこからか手に入れた銃を拝島は、腰を抜かした父親に突き付けている。
その父親は情けないほどわなわなと震えていた。
俺がこいつの息子だったら、自分を苦しめて来た男がこんなに小さくなっている姿を見たかっただろうか。見たくなかっただろうか。
「萱間、俺、ああ、助けて、俺は」
拝島はずっと俺に助けを求めている。
銃は誰かが与えたのだろうか。自分で入手したのだろうか。
何にしろこうなるまで拝島は俺に助けを求めなかったのだ。ここまで自分で来たのだ。
「拝島。もういい……もう十分だ」
もう十分頑張った。引き金を引け、拝島。








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拙いですが、かとうさんへのお誕生日プレゼントとして、
「助けて」「もういい……もう十分だ」を入れる掌編(これと次の記事のもの)を書かせていただきました。
(どちらもA5 1枚に手を止めずに書くいつものスタイルでした)
お誕生日プレゼントなのにこんなところに書いてしまってすみません!
かとうさん、お誕生日おめでとうございます&さよハヰ上巻おめでとうございます!!
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Author:えるれ
好きなサイボーグは004です。

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