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「助けて」「もういい……もう十分だ」①

拝島は本当によく耐えた。
少年から青年となり大人となるまで、殴りも蹴りもせず拝島は生きた。
でも今日、解放されるのだ。拝島は手放すのだ。呪縛を、血筋を。
「萱間……助けて」
拝島はほとんど泣きかけて俺を見た。
「助けて」
俺は拝島ほど美しい黒髪を持つ男を見たことがない。
今だって、夕日になり始めた太陽の光の波が、その髪の美しさをいっそう際立たせている。
拝島はまた言う。
「助けて、殺してしまう」
どこからか手に入れた銃を拝島は、腰を抜かした父親に突き付けている。
その父親は情けないほどわなわなと震えていた。
俺がこいつの息子だったら、自分を苦しめて来た男がこんなに小さくなっている姿を見たかっただろうか。見たくなかっただろうか。
「萱間、俺、ああ、助けて、俺は」
拝島はずっと俺に助けを求めている。
銃は誰かが与えたのだろうか。自分で入手したのだろうか。
何にしろこうなるまで拝島は俺に助けを求めなかったのだ。ここまで自分で来たのだ。
「拝島。もういい……もう十分だ」
もう十分頑張った。引き金を引け、拝島。








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拙いですが、かとうさんへのお誕生日プレゼントとして、
「助けて」「もういい……もう十分だ」を入れる掌編(これと次の記事のもの)を書かせていただきました。
(どちらもA5 1枚に手を止めずに書くいつものスタイルでした)
お誕生日プレゼントなのにこんなところに書いてしまってすみません!
かとうさん、お誕生日おめでとうございます&さよハヰ上巻おめでとうございます!!
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